バイリンガル、マルチリンガル児のことばの発達

保育園、幼稚園、こども園、または小学校には、さまざまな子ども達が通っています。そのなかでも、バイリンガルやマルチリンガルと呼ばれるような、二か国語以上の言語にふれて育った子どもたちは、そうでない子どもたちに比べると語彙数が少ないように感じられることがあります。そのように見えるのは、子どもの言語能力が単一の言語のみによって見積もられているからだと思われます。たとえば、単一の言語環境で育ってきたモノリンガルの子どもたちの場合、ある言語が子どもの言語知識の全体を代表しています。一方で、バイリンガルやマルチリンガルの場合、ある単一の言語はその子どもがもっている言語知識の一部分しか代表していません。もし、その子どもが触れているすべての言語をつかって言語能力を測ったら、バイリンガル児やマルチリンガル児は、同年齢のモノリンガル児と同様かそれ以上の語彙数をもっているということがわかるかもしれません。

バイリンガルやマルチリンガルの子どもであっても、ある特定の状況において見聞きしたり使ったりするのは、知っている言語のうちの一つになるでしょう。家では日本語、学校ではフランス語にふれている子どもの場合、家で飼っていたり養育者と会話したりするなかで,「ネコ」という日本語は知っているかもしれません。けれども、フランス語の「ネコ (chat)」ということばを、その子どもはまだ知らないかもしれません。学校にはネコがいなかったり、先生がネコについて授業で話していなかったりする場合に、こういうことが起こる可能性があります。学校で新しいことばにふれるたびに、このバイリンガル児のフランス語の語彙は増えていくでしょう。新しいことばを学び続けていけば、小学校のあいだに2つの言語の語彙数の差は小さくなり、多くの場合、やがてはなくなっていくでしょう。

次回は、聴覚とは異なる感覚を使ったことば、つまり、手話の発達についてご紹介しようと思います!

科学的な参考資料:

Thordardottir, E. (2011). The relationship between bilingual exposure and vocabulary development. International Journal of Bilingualism, 15(4), 426-445.
Bialystok, E., Luk, G., Peets, K. F., & Yang, S. (2010). Receptive vocabulary differences in monolingual and bilingual children. Bilingualism (Cambridge, England), 13(4), 525.

このコミックは,Krista Byers-Heinlein博士とのコラボレーション作品です!



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