「読み書き」は言語に必要なのでしょうか?

言葉を身につける上で、読み書きできるようになることはなくてはならないステップだと思っている方も多いかもしれません。しかし実際は、読み書きできるようになるよりも前に、子どもたちは言葉をほぼ習得してしまいます。なんとお母さんのお腹の中でも、言葉の習得は始まっているのです!

全く読み書きできなくても、言葉を身につけることはできます。実は、世界の言語の半分以上には、文字がありません。口で話される(口頭言語)か、手話として話されるのみなのです。これらの言語は文字があるものと全く同じくらい(もしくはもっと)完全で、複雑です。たとえば、Yeli Dnye語という口頭言語には、90個もの母音と子音があります。これは書き言葉を持つ英語の音よりずっと多いです。文字をもたない言語の中には、びっくりするような特徴をもつものもあります。たとえば、Silbo gomero語は口笛で構成された言語で、口笛は子音や母音よりずっと遠くまで聞こえるのです。子音と母音は、話す人がどれくらいの声の大きさで発話するかにもよりますが、数百メートルほど先まで届きます。しかし、口笛はなんと3km以上も先まで届くのです!3kmも離れたところにいる友だちと対面で話すところを想像してみてください。口笛を使う言語は、山や密林のような、通り抜けるのが難しい場所でよく見られます。

言葉は何よりもまず口で話されるか、手話として存在します。これらがもとになって、その上に読み書きの力が積み重なるのです。