ことばの発達において最も大切な情報源は何でしょうか?

子どもたちは、とても早い段階からさまざまな人の言葉を見たり聞いたりしています。保育園や幼稚園などに通っているなら、そこで先生や友達との交流があるでしょう。祖父母と時間を過ごすこともあるでしょうし、よく一緒に遊ぶ年上の兄姉がいることもあるでしょう。

多くの場合、子どもの言語発達を促進する他者といえば、もっぱら養育者 (ほとんどの場合は母親) にばかり目が向けられがちです。しかしながら、世界中を見わたせば、子どもが聞くことばの情報源は実に多様であり、そのなかのどれであっても言語習得の基礎となり得ます。アメリカだけでも、600万人もの祖父母が積極的に子育てに関わる養育者だといわれています。また、他のコミュニティでは、男性か女性か、大人か子どもかなどに関係なく、母親以外の家族のメンバーが子育ての役割を担うことがあります。さらに、第一養育者の役割が コミュニティ間・家族間で分担されることさえあります。第一養育者は一人か二人でないといけない、なんてことはないのです。

このような第一養育者の多様性もさることながら、子どもは私たちが思っている以上に第一養育者と離れて時間を過ごしています。ヨーロッパから、アメリカ、そしてオーストラリアの先住民に至るまで、どんなコミュニティで育つかに関わらず、一日中年上の子どもたちと遊ぶなかでことばを学ぶ、ということも大いにあり得ます。

子どもが経験するどんな交流も、ことばを学ぶ素晴らしい機会です!次回は、子どもの周囲の人々が言語発達に及ぼす影響がどれほど計り知れないものなのかをさらに深堀りしていきます。

科学的な参考資料:

Fouts, H. N., Roopnarine, J. L., Lamb, M. E., & Evans, M. (2012). Infant Social Interactions With Multiple Caregivers: The Importance of Ethnicity and Socioeconomic Status. Journal of Cross-Cultural Psychology, 43(2), 328–348.

Henrich, J., Heine, S. J., & Norenzayan, A. (2010). Most people are not WEIRD. Nature, 466(7302), 29–29.

Simmons, T., & Dye, J. L. (2003). Grandparents Living with Grandchildren: 2000. Census 2000 Brief. Retrieved December 2, 2020 from https://eric.ed.gov/?id=ED482412