ろうの子どもと手話で会話を始めるときに、良い方法はありますか?
誰かが別の部屋で話していたり、公園の向こう側でずっと話し込んでいたりすると、何を言っているのか聞こえないことがあります。このように、聴者には、音を聞き取ることができる一定の範囲があります。
もし、普段使っている言語が手話だったら、「聞こえる範囲」の代わりに「見える範囲」を想定することになるでしょう。これは、どんな瞬間であっても視覚情報を受け取ることができる範囲のことを指します。子どもが目の前のおもちゃに集中しているときに、「見える範囲」の外から手話で話しかけることは、まるでヘッドフォンで音楽を集中して聞いている人に声をかけるようなものです。
音が聞こえないろう (デフ)* の子どもに話しかけるとき、養育者は手を振ったり、身体全体をその子どもの視野内に入れたりすることで、子どもの視覚的注意を引きつけることができます。子どもの視野内に向かって指をウォーキングさせるようなジェスチャーをするなど、別のクリエイティブな方法もあるでしょう。いったん注意を引きつけることができれば、話しかける準備はばっちりです!
* 手話言語を使う人たちや文化のことを英語では「Deaf」(デフ) といいます。ちなみに、「deaf」と頭文字を小文字にすると、手話を使うかどうかにかかわらず、耳が聞こえないという医学的状態をあらわすそうです。他の言語でもこのような用語の使い方の違いがあるようです。日本語では、「聴覚障害者」「健聴者」ではなく、より中立的な「ろう者」「聴者」という表現を用いることが多いですが、「デフ」というカタカナ表記も使われるようになってきました。
科学的な参考資料: