モノを見せながらその言葉を言うことは、言葉の発達に役立ちますか?
私たちが赤ちゃんと話す時、大人と話す時よりも、より大げさな身振りをすることがあります。実際のところ、このようにやりとりの仕方を変えることで、多少なりとも子どもは言語習得しやすくなるのでしょうか?
私たちの動きや身振りが赤ちゃんの言語習得を助ける1つの方法として「マルチモーダルコミュニケーション(多感覚を通したコミュニケーション)」というものがあります。例えば、私たちは子どもたちに「話しかける」ということをします。この場合、子どもは「聴覚」を使って学習します。しかしここで、「話しかけながら何かを見せる」とすれば、子どもは「聴覚」「視覚」の両方を使って学習することになります。このように、1つよりも、2つの手がかりがある方が、子どもにとっては学習の手助けになるのです。研究によれば、おもちゃの車を振りながら、もしくは、より子どもの近くに持っていきながら「ブーブー」「クルマ」という単語を言うことが、「クルマ」という音がどのような意味に対応しているかを理解する手助けになることが示されています。
言語習得というのは、謎解きゲームのようなものです。手がかりがあればあるほど、謎を解くのは早くなる、というわけです。
多くの養育者は、既に沢山の感覚情報を活用しながら子どもとコミュニケーションを取っているのではないでしょうか。「この組み合わせがベストである」というような魔法のレシピがあるわけではありませんから、あなたにとって自然な組み合わせで子どもとのやりとりを楽しんでみて下さいね!
今回紹介した「視覚」+「聴覚」のお話は、複数の異なる感覚の組み合わせがどのように言語習得を助けるかというテーマのほんの一例にすぎません。次回は、「触覚」が言語習得にどのように役立つかについてお話しします。
科学的な参考資料: