赤ちゃんへの話し方は全世界共通なのでしょうか?

私たちは状況に応じて、話し方をその都度調整しています。たとえば、面接で自己紹介するときと、友達同士でのパーティーで自己紹介するときとでは、異なる話し方になるのではないでしょうか? 赤ちゃんに話しかけるときにも、場所によって、あるいはどんな赤ちゃんかによって、私たちの話し方は大きく異なります。

地域によっては、養育者が赤ちゃんに話しかけるときに、特別な語彙を使う場合があります。たとえば、日本語には「赤ちゃんことば」があり、大人と話すときとはまったく異なることばを使って赤ちゃんに話しかける場合が多いです。日本語の「犬」は、赤ちゃんことばでは「ワンワン」になりますよね。

一方で、ジャワ語を話すインドネシアなどの地域では、乳幼児だからといってことばを単純にせず、多くの養育者は大人に話すときと同じように子どもに話しかけることがあります。こうすることで、相手の社会的地位によってさまざまな異なる話し方があるということを、最初から子どもに教えているのです。

さらに、サモア諸島のある村のように、養育者が子どもに直接話しかけることをまったくしないという地域さえあります。

同じ文化圏であっても、養育者の赤ちゃんへの話し方は非常に多様です。養育者は、目の前の赤ちゃんの発達に合わせて、(無意識に) 話しかけ方を調整することがあります。まだ幼くて知っていることばがほんの少ししかないときには、できる限り単純な文で話しますが、赤ちゃんが成長してより多くのことばがわかるようになると、発話する文をどんどん複雑にしていくと言われています (この事例は英語圏のものです)。ほかにも、補聴器や人工内耳などの聴覚補助機器を装着している赤ちゃんには、養育者はさらに大きな声で話しかけることが多いようです。

このように、赤ちゃんへの語りかけにはさまざまな方法がありますが、それでも世界中のどこにいるかに関わらず、赤ちゃんはことばを覚えていきます。赤ちゃんへの話し方に唯一の正しい方法があるわけではありません。自分に合ったやり方で、赤ちゃんに話しかけてみましょう。あなたが心地よいと感じる、しっくりくる話し方をしてみることが最も大切だと思われます。

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