言語の多様性を守るためにはどうすれば良いのでしょうか?
映画は吹き替えられたり、字幕が付けられたりしますが、言語によってその機会が多かったり少なかったりします。話す人を数人見つけるのさえ難しい言語もあります。言語の絶滅危惧種というのは、ご存知のように、若い人がほとんど学んでおらず、私たちの多くが見過ごしてしまっているような言語のことを指します。たとえばカナダでは、100近い現地語のうち75%が絶滅の危機に瀕しています。
言語は、ネックレスのビーズのように音がただ単につなげられたものではありません。豊かな文化と歴史への入り口です。世界の言語のとてつもない多様性を守ることは、子どもたちへの働きかけから始まります。子どもたちに、周りの大人が話す言語を学びたいと思い、そしてその言語を学ぶことに誇りをもってもらえるように働きかけることが重要です。絶滅の危機に瀕している言語を子どもたちに学んでほしいと思っていたとしても、学校やテレビ、ビデオゲームなど暮らしのなかで触れる言語がすべてそれ以外の (多くの使用者がいる) 言語だと、その願いを叶えることは難しいかもしれません。ひとつの方法としては、その言語を文化に結びつけ、暮らしのなかに引き戻すことが挙げられます。たとえば、一緒に伝統的なゲームで遊んだり、伝承など昔から伝わるお話をしてあげたりすると良いでしょう。
言語の保護が成功した例は、家庭やコミュニティーでの草の根運動と、政府主導の教育・法制改革とが組み合わさった結果であることが多いです。カナリア諸島の口笛言語であるシルボ・ゴメロ語のように、固有の現地語が観光業を促進しているような地域もあります。
次回は、世界の言語の不思議についてさらにひも解いていきます。お楽しみに!
科学的な参考資料:
Moseley, C. (Ed.). (2010). Atlas of the World’s Languages in Danger. Unesco.