ろう児に読み聞かせをするにはどうしたら良いですか?

子どもに絵本の読み聞かせをすることは、ことばを増やす最適な方法のひとつです。日常会話では、いつも同じ活動やおもちゃ、環境について話すことが多いのに対して、絵本の世界では、トラや宇宙船など、家庭では目にすることのないものに触れることができます。そして何より、絵本にふれる時間は、子どもが読むことを好きになるための土台になります。

ところで、ろうの子どもに読み聞かせをすることは、一見すると大変に思えるかもしれません。絵本を持ち、ページをめくり、手話もするというように、大人は手をたくさん使わないといけないからです。また、絵本の文章を即座に手話に翻訳しなければならないからです。

幸いなことに、科学者たちはろうの子どもと一緒に絵本を読むための最も快適で効率の良い (エルゴノミックな) 方法について研究を進めてきました。

1. まず、絵本、大人の手と顔がよく見える位置に子どもに座ってもらいます。

2. 片手で絵本を押さえて、もう片方の手で手話をします。あるいは、ブックスタンドに絵本を置いて、両手で手話できるようにしても良いでしょう (ブックスタンドは子どもと一緒にDIYで作ってみるのも良いかもしれませんね!)。

3. お話の世界に子ども自身も参加できるようにします。たとえば、絵の中にあるものを探したり、登場するキャラクターの名前を言ったりするといったやり方があります。

4. すると、今度は子どもがあなたに手話で絵本の読み聞かせをしてくれるようになるかもしれません!

心地良い読み聞かせの環境は、親子で読み聞かせする時間を増加させることが分かってきています。さらに、そのような環境は、読み聞かせの時間をもっと楽しくします!

次回は、ろうの子どもに読み聞かせをしながら、読み書きの発達を促す方法について紹介したいと思います。お楽しみに!

科学的な参考資料:

Berke, M. (2013). Reading books with young deaf children: Strategies for mediating between American Sign Language and English. Journal of Deaf Studies and Deaf Education, 18(3), 299-311.

Schleper, D. R. (1995). Reading to deaf children: Learning from Deaf adults. Perspectives in Education and Deafness, 13, 4-9.