コードスイッチング (言語を混ぜること) はことばの発達にどのように影響しますか?
一見すると、コードスイッチング (「子どもに話す時、異なる言語を混ぜて話しても良いのでしょうか?」をご覧ください) は言語習得を難しくしてしまう方法なのでは?と思われるかもしれません。それぞれの言語を別々にきちんと学ぶのではなく、子どもは絡み合った2つの言語を理解しなければならないからです。けれども、これは単なる印象論に過ぎません。
コードスイッチングは、子どもにとって、もうひとつの言語を使う力を高めることに役立ちます。たとえば、養育者は、子どもにとってあまり馴染みがない方の言語の文を、すぐにもう一つの言語に翻訳して話すことがあります (例:“Trae la pelota. Bring the ball” ※一文目はスペイン語で,二文目は英語。どちらも「ボールを持ってきて」の意)。また、コードスイッチングは、子どもがもうひとつの言語を理解することにも役立ちます。たとえば、養育者が、子どもにとって馴染みがある方の言語から少しだけ単語だけを借りてきて、残りはもう一方の言語を使って話しかけるといった例が挙げられます。 (例:“Bring your gato plush toy” ※「ネコのぬいぐるみのおもちゃを持ってきて」の意。英語文のなかで“gato plush”=「ネコのぬいぐるみ」の部分だけがスペイン語)。純粋な言語力のみならず、コミュニティや家族のなかで他者と同じようにコードスイッチングを使うことで、子どもはコミュニティにおける規範や、他者がどのように話すのかといったことを学ぶことができます。このようなスキルは、将来の社会的交流において不可欠なものだといえます。
コードスイッチングをするかしないかによって、言語発達にどのような影響があるかを直接測ることは容易ではありません。とはいえ、科学者が観察したいくつかの効果のなかには、コードスイッチングは発達に良い影響をもたらしうるというものがあります。子どもにコードスイッチングを使って話しかけることは、子どもの向社会的な行動を促し、多言語環境における他者とのやりとりを容易にするようです。
コードスイッチングを使う子どもは混乱して、複数の言語を混同して使ってしまうのだ、という考えはある種の「神話」だといえるでしょう。実際には、子どもは養育者と同じくらいコードスイッチングを使うのです!コードスイッチングは、多言語環境にある家庭やコミュニティにおいてはよく見られる現象だといえます。
もしあなたが普段からコードスイッチングを使っているなら、異なる方法で話すようにしなければ!と無理をする必要はまったくありません。リラックスして、会話に夢中になってくださいね。
科学的な参考文献: