言語にも音楽のようなリズムがあるのでしょうか?
知らない言語を見聞きした時に、それぞれの言語がもつ特有のリズムを感じることはありませんか?例えば、発話のなかでの音のタイミング、もしくはリズムは、言語によって異なる場合があります。それぞれの言語には独自の (打楽器でいうところの) 「ビート」があると考えることができるでしょう。
いくつかの言語では、各音節に合わせて規則的なリズムを刻みます。広東語、フランス語、イタリア語、スペイン語などがそれにあたります。例えば “The cat is sleeping” (猫は眠っている) はフランス語で “Le chat dort” となり (3音節で3ビート)、広東語では “貓瞓𡁵覺” (maau1 fan3 gan2 gaau3)* となります(4音節で4ビート)。
一方で、言語によっては、それぞれ単語の強調部分に合わせてリズムが不規則に変化するものもあります。例えば英語、ドイツ語、アメリカ手話などが該当します (手話のリズムについてはまた別の機会にお話ししたいと思います)。以下の例文では、強勢アクセントがある音節に下線が引いてあります (例えば、“The girls will be playing games” は7音節で3ビートになります)。強勢アクセントに沿ってビートを刻む場合、異なる音節数の文章同士でも、かかる時間が同じぐらいになることがあります。実際に以下の3つの文章の音声を聴いてみてください。
1. Girls play games (3音節)
2. The girls will play games (5音節)
3. The girls will be playing games (7音節)
これら3つの文章はほぼ同じ長さになります。ここでは、「ほぼ」が重要なポイントになります! 言語と音楽の違いは、言語にはより柔軟なリズムがあるという点ですが、リズムは文脈によって異なり、話す人によっても異なる場合があります。韓国語、モンゴル語、タミル語など、さらに柔軟なリズムをもつ言語もあります。
言語のリズムは、赤ちゃんが単語の意味を知る以前から、言語習得を始めるための手がかりとして機能します。生まれたばかりの赤ちゃんでも、異なるリズムをもつ言語同士を区別できることが研究からわかっています。赤ちゃんは小さなモーツァルトだなんて、思いもよらない驚きですね!
*広東語は声調言語で、単語の横に表示されている数字は声調の番号です。
今回のコミックは、ロレッタ・ガスパリーニ氏 (Loretta Gasparini) とのコラボレーションによって制作されました。
科学的な参考資料: