吃音をもつ子をどのようにサポートすることができますか?
言葉を話す、ということには、ほとんど努力を要しないように思われます。しかし、正しい単語を思い出そうとして詰まってしまったり、思わず単語の一部を繰り返してしまったり、という事もありますよね。こういった発話の流れの途切れのことを「発話の非流暢性(speech disfluency)」と呼びます。この非流暢性は、発話の内容や、その時の心の状態などによって起こることがあります。例えば、あまり慣れない話題について話したり、ストレスが溜まっていたり興奮状態だったりすると、発話がつっかえてしまうことが増えるかもしれません。会話の際にごく自然に生じる「えっと」なども、発話の非流暢性のうちの一つです!
しかしながら、この非流暢性が頻繁に起こりコミュニケーションに支障をきたしてしまう場合、それは発話障害と考えられます。その中でもよくあるのが「吃音」です。「さ、さ、さ、さかな」のように、単語の一部を繰り返すのは吃音の特徴のひとつです。他にも、単語の一部の音を伸ばしたり、発声前に口に力が入ってしまったりするなど、気付かれにくい特徴も含まれます。吃音は、早ければ多語文の始まる2歳頃にも起こりはじめることがあり、幼少期の吃音は短期的なものである場合もあれば、大人になるまで継続する場合もあります。
なぜ吃音が起こるのか、まだはっきりとは分かっていませんが、発達の過程で生まれる脳の差異によるものではないかと考えられています。吃音をもつお子さんの保護者の方々は、言語聴覚士など専門家との面談のほか、お子さんが話す際にプレッシャーを感じないような、話しやすいサポート環境を整えてあげることを検討してみてください。積極的に聞いてあげる姿勢によって、新しい話題や、あまり馴染みのない話題について話すことを促せるかもしれません。また、文章を最後まで話せるように、十分な時間をとりながら対話を組み立てることで、「早く話さなければ」といったプレッシャーを軽くしてあげることができるでしょう。
そして重要なことは、お子さんの話し方が他の人々と違っていたとしても、それは全く恥ずかしいことではないと伝えてあげることでしょう!
この記事はJanet Bang博士、Pei-Tzu Tsai博士、Caryn Iwakiriさんとのコラボレーションで作成されました。
科学的な参考資料:
Ambrose, N. G., & Yairi, E. (1999). Normative disfluency data for early childhood stuttering. Journal of Speech, Language, and Hearing Research, 42(4), 895-909. https://doi.org/10.1044/jslhr.4204.895
Byrd, C. T. (2018). Assessing bilingual children: Are their disfluencies indicative of stuttering or the by-product of navigating two languages?. In Seminars in Speech and Language (Vol. 39, No. 04, pp. 324-332). Thieme Medical Publishers.