自閉スペクトラムの子どものことばを育むにはどうしたら良いですか?
友達にスマートフォンの写真を見せたり、レストランの店員さんにメニューに載っている飲み物を指さしたりするとき、あなたは自分の注意の焦点を他者と共有していることになります。「共同注意」とは、2人以上の人が、写真やメニューの品目など、同じ対象に注意を向けることができることを指します。一般に、子どもは生後1年の間に共同注意を発達させます。そして、このマイルストーンは語意学習の鍵となります。
たとえば、保護者がクッキーの入った袋を指差して「クッキー食べる?」と子どもに尋ねたとします。このとき、もし子どもが保護者が注意を向けている対象 (クッキー) を理解していれば、「クッキー」という単語の意味を理解するのに、保護者の注意を手がかりにすることができます。
一方で、自閉スペクトラム症 (Autism Spectrum Disorder: ASD) のように、このマイルストーンに至ることに難しさを抱える子どもたちもいます。ASD児の共同注意の発達を促すことで、単語や会話の長さなどの側面で、ことばの発達に次々と良い影響が生じることを示した研究があります。
家庭で共同注意の発達を促す方法のひとつは、楽しい活動のなかで注意を協調させる体験をすることでしょう。たとえば、部屋に面白いおもちゃ (シャボン玉のボトルなど) を隠しておき、子どもにそれを見つけるよう促します。ここで唯一の手がかりになるのは、あなたの指差しや視線です! うまく見つけられたら、そのおもちゃで一緒に遊んでみましょう。
ことばの発達の土台部分を育むことは、言語発達のさまざまな側面を一挙に促進する良い近道だといえるかもしれません!
科学的な参考資料:
Franchini, M., Armstrong, V. L., Schaer, M., & Smith, I. M. (2019). Initiation of joint attention and related visual attention processes in infants with autism spectrum disorder: Literature review. Child Neuropsychology, 25(3), 287-317.