産まれたばかりの赤ちゃんは、どのような手がかりを使って言語を習得するのでしょうか?

頻繁にチャンネルを変えながらテレビ番組を観ている状況を想像してみてください。このとき、ある番組で見聞きしたことのない言語が流れてきたとします。馴染みのない言語ですから、発話のどこに単語の切れ目があるかを探したり、何と言っているかを理解したりすることはとても難しいでしょう。けれども、話し方に特徴的なメロディーがあるということに気づくかもしれません。そして、その見知らぬ言語のメロディーは、あなたの母語のそれとは異なるかもしれません。例えば、所々で、質問するときのように語尾の音が高くなるなど、リズムやメロディーの突然の変化が聞こえてくる可能性があります。発話のイントネーションや、強勢アクセント、そしてリズムといった言語におけるメロディーの側面は、「韻律」 (プロソディ) と呼ばれます。

産まれたばかりの赤ちゃんでも、韻律の変化に気づくことがあります。例えば、赤ちゃんは韻律の違いで異なる言語を区別することができます。‘Let’s go to the park’ という発話は英語で、‘Vamos para o parque’ という発話はポルトガル語だということを赤ちゃんにわざわざ教える必要はありません。赤ちゃんはこの2つの言語を聴くだけで、韻律的に異なることがわかるからです。

韻律は赤ちゃんにとって、異なる発話がどの言語に属するかを伝える手がかりになるだけでなく、さらに他の情報も伝えてくれます。それぞれの言語において、韻律は単語や文法、発話の意味によって規則的に変化します。例えば英語では、 ‘dog’、 ‘ball’、 ‘spoon’のような単語は、‘the’ や‘a’のような単語と比べて強く発音されます。産まれて数ヶ月の赤ちゃんでも、 弱く発音されるはずの‘the’や ‘a’が強く発音されるとびっくりすることが知られています! このように、韻律は赤ちゃんが単語の種類や文の構造、単語がどこで始まってどこで終わるかなどを見るけるためのヒントを教えてくれるのです。

次回は、韻律的情報がどのように子どもたちの言語習得を支えるのかについてお伝えしますね!

科学的な参考資料:

Abboub, N., Nazzi, T., & Gervain, J. (2016). Prosodic grouping at birth. Brain and Language, 162, 46–59.

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Gout, A., Christophe, A., & Morgan, J. L. (2004). Phonological phrase boundaries constrain lexical access II. Infant data. Journal of Memory and Language, 51(4), 548-567.

Johnson, E. K., & Jusczyk, P. W. (2001). Word segmentation by 8-month-olds: When speech cues count more than statistics. Journal of Memory and Language, 44(4), 548-567.

Mehler, J., Jusczyk, P., Lambertz, G., Halsted, N., Bertoncini, J., & Amiel-Tison, C. (1988). A precursor of language acquisition in young infants. Cognition29(2), 143-178.